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セキュリティの部屋

【要約解説】令和8年版「デジタル社会の実現に向けた重点計画」 ~中小企業経営者・実務担当者が押さえておきたいポイントと令和7年版からの変化~

令和8年版「デジタル社会の実現に向けた重点計画」

中小企業経営者・実務担当者が押さえておきたいポイントと令和7年版からの変化

2026年7月31日 生成AIにより原案作成 東京都校正

はじめに

2026年7月21日、政府は「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を閣議決定しました。本計画はデジタル社会形成基本法に基づき毎年策定される国家レベルのデジタル戦略であり、行政サービス、企業活動、AI活用、サイバーセキュリティ、人材育成などの方向性を示しています。令和8年版では、人口減少・人手不足への対応、生成AI・AIエージェントの活用、サイバーセキュリティ対策の強化などが重点的なテーマとして位置付けられています。

本記事では、特に中小企業の経営や実務に関連する施策に焦点を当て、AI活用、サイバーセキュリティ、事業者向け行政サービス、デジタルインボイス、人材育成などの分野について整理しました。自社のDX推進やサイバーセキュリティ対策を検討する際の参考資料として活用いただくことを目的としています。 なお、本記事は重点計画を網羅的に解説するのではなく、中小企業との関連性が高い施策を中心に要点をまとめています。詳細については、デジタル庁が公表している「令和8年版 デジタル社会の実現に向けた重点計画」及び関連資料をご確認ください。

令和8年版「重点計画」ここが変わった!3つの変化(前年版との差分)

経営者・実務担当者が押さえるべき、前年(令和7年版)からの主な進化・変更ポイントは以下の3点です。
  1. AI活用の深化:「生成AIの利用」から「AIを前提とした社会・業務変革(AX)」へ 文章作成支援などの個別利用にとどまらず、業務プロセスを自動化・自律化するAIエージェントの活用や、AIガバナンスの整備を前提とした本格運用の段階に入りました。また、政府自身も「ガバメントAI(源内)」などの活用を進めており、AIを前提とした行政運営への転換が進められています。
  2. セキュリティの高度化:「個別企業の防衛」から「AI脅威対応・サプライチェーン全体の防御」へ AIを悪用した高度な攻撃への防御策(Project YATA-Shield)や、サプライチェーン・サイバーセキュリティ評価制度(SCS評価制度)の具体化が進められています。また、行政分野ではゼロトラストアーキテクチャを前提としたネットワーク基盤整備も進められています。
  3. デジタル基盤の定着:「個別サービスの整備」から「社会全体のデジタル基盤整備」へ Gビズポータルやデジタルインボイスの定着に加え、制度のコード化(Rules as Code)、公共サービスメッシュ、ベース・レジストリ、デジタル・アイデンティティなど、行政サービスや社会基盤そのものをデジタル化する取組が重点的に進められています。

令和8年版重点計画を読み解く注目キーワード

令和8年版重点計画では、中小企業向け施策だけでなく、日本全体のデジタル社会を支える基盤整備やAI活用の推進が数多く盛り込まれています。ここでは、本計画を理解する上で押さえておきたい主なキーワードを紹介します。

AI活用の高度化(AX・AIエージェント・ガバメントAI)

令和8年版では、AIを前提に業務や組織のあり方そのものを変革する「AX(AI Transformation)」が重要な方向性として示されています。また、業務を自律的に実行するAIエージェントの活用や、政府における生成AI活用基盤である「ガバメントAI(政府共通生成AI基盤の通称『源内』)」の整備も進められています。行政・企業の双方でAI活用が本格化する段階に入ったことが大きな特徴です。

AIとシステムをつなぐMCP

MCP(Model Context Protocol)は、AIが各種システムやデータと連携するための仕組みです。将来的には、AIが情報検索だけでなく、申請や登録、各種業務の実行まで担えるようになることが期待されています。重点計画では、AIエージェントが政府システム等と安全に連携できる環境整備が進められています。

制度やデータを活用しやすくする基盤整備

行政サービスをより使いやすくするため、制度やデータをデジタルで活用しやすくする取組も推進されています。
制度のコード化(Rules as Code)
法令や制度のルールを、人が読む文章だけでなくコンピュータが処理しやすい形式でも整備する取組です。制度改正時のシステム対応の迅速化や、行政手続の自動化・効率化が期待されています。
ベース・レジストリ
住所や法人情報など、行政機関が共通で利用する基礎データを標準化して管理する仕組みです。企業が同じ情報を何度も提出する負担を減らし、行政サービスの正確性向上につながることが期待されています。
公共サービスメッシュ
行政機関同士が必要な情報を安全に連携するための共通基盤です。将来的には、行政機関間で情報連携が進むことで、利用者が同じ情報を繰り返し提出する負担の軽減や、行政手続のデジタル完結につながることが期待されています。

デジタル・アイデンティティの活用

GビズIDや電子証明書、マイナンバーカードなどを活用した「デジタル・アイデンティティ」の整備も重要なテーマです。オンライン上で安全に本人や法人を確認するための仕組みであり、今後のデジタル社会の信頼基盤として位置付けられています。

ゼロトラストとAI時代のサイバーセキュリティ

令和8年版では、AI性能の高度化に伴うサイバー脅威への対応も重要なテーマとなっています。AIを活用した攻撃への対策強化として「Project YATA-Shield」が推進されているほか、2030年頃の国・地方ネットワークの将来像の実現に向け、自治体へのゼロトラストアーキテクチャ導入支援や関連ガイドラインの整備も進められています。 ゼロトラストとは、「社内ネットワークは安全」という前提を置かず、利用者や端末、通信ごとに継続的な確認を行うセキュリティの考え方です。クラウド利用やリモートワークの普及に伴い、行政機関だけでなく企業においても重要性が高まっています。

本文

1. AI活用が経営課題に

【重点政策一覧】4-20 中小企業支援のDX推進、4-21 企業のDX推進
  • 【本文】第1-4-(4)-② AI等の新技術を安心して活用できる基盤構築に向けた民間投資の促進等
重点計画では、AI等の新技術を安心して活用できる基盤整備や企業DXの推進が掲げられています。また、生成AIやAIエージェントの急速な進展を踏まえ、AX(AI Transformation)を推進する考え方が示されています。政府は、AIを活用した経済成長や業務改革を進めるため、企業による投資や活用を後押ししています。
前年(令和7年版)からの進化ポイント
生成AIの利用・検証フェーズから、業務を自動化する「AIエージェント」の活用や、社内ガイドライン策定・リスク管理(AIガバナンス)を前提とした本格運用フェーズへ移行しました。
実務担当者が取り組みたいこと
  • 生成AIの利用状況を把握する
  • AI利用ルール(入力禁止情報、確認手順等)を整備する
  • 情報収集、文書作成などから試行する
  • AI活用による業務削減効果を測定する
  • AI利用時の情報漏えいリスクを点検する
参考となる公的文書

2. サプライチェーン全体でサイバーセキュリティ強化

【重点政策一覧】5-17 中小企業を含むサプライチェーン全体でのサイバーセキュリティ対策強化
  • 【本文】第1-4-(5)-④ 医療機関・企業のサイバーセキュリティ強化等
重点計画では、中小企業を含むサプライチェーン全体のセキュリティ強化が重点施策として示されています。特に以下の制度やサービスの推進が盛り込まれています。
  • サプライチェーン・サイバーセキュリティ評価制度(SCS評価制度)
  • サイバーセキュリティお助け隊サービス
前年(令和7年版)からの進化ポイント
単に「セキュリティ対策を行いましょう」という呼びかけから一歩進み、取引先から対策状況を客観的に評価・確認される「SCS評価制度」を見据えた、自社対策の「可視化」が強く意識されています。
実務担当者が取り組みたいこと
  • 多要素認証(MFA)を導入する
  • バックアップ取得状況および復旧手順を確認する
  • ランサムウェア対策を点検する
  • インシデント対応手順を整備・訓練する
  • 取引先からのセキュリティチェックシートへ迅速に回答できる体制を整える
  • SECURITY ACTION(★ひとつ星/★★ふたつ星)に取り組む
  • SCS評価制度に向け、自社の対策レベルの可視化を進める
  • サイバーセキュリティお助け隊サービスの活用を検討する
参考となる公的文書

3. AI時代のサイバー攻撃への備え

【重点政策一覧】5-1 AI性能の高度化を踏まえたサイバーセキュリティ対策パッケージ Project YATA-Shieldの推進
  • 【本文】第1-4-(5)-① AI性能の高度化を踏まえたサイバーセキュリティ対策の向上
AI性能の高度化に伴い、脆弱性発見やサイバー攻撃の高速化・巧妙化が懸念される中、政府は「Project YATA-Shield」などを推進しています。AIやAIエージェントを悪用した攻撃への対策強化や、高性能AIを活用したセキュリティ対策の高度化を図ることが示されています。
前年(令和7年版)からの進化ポイント
攻撃者がAIを悪用することで「フィッシングメールの精度向上」や「脆弱性攻撃の自動化・高速化」が進行していることを受け、政府による国家レベルの防御策(Project YATA-Shield)との連携や、迅速なパッチ適用が焦点となりました。
実務担当者が取り組みたいこと
  • 既知の脆弱性に対する迅速なパッチ適用ルールを整備する
  • 多層防御の徹底とアクセス権限の最小化を行う
  • 標的型メール訓練やAI脅威に関する経営層・従業員向け教育を実施する
  • 振込先変更等の依頼に対する多角的な本人確認フローを整備する
  • DMARC等の成りすましメール防止策を導入・運用確認する
参考となる公的文書

4. GビズID・Gビズポータルが事業者手続の中心に

【重点政策一覧】3-24 Gビズポータルの構築・運用、3-26 法人共通認証基盤(GビズID)の利用拡大
  • 【本文】第1-4-(3)-② Gビズポータルの構築及び機能拡充等
重点計画では、事業者向け行政サービスの窓口としてGビズポータルの整備を進めるとともに、法人共通認証基盤であるGビズIDの利用拡大を推進しています。GビズIDは、複数の行政サービスへ共通の認証で利用できる仕組みとして位置付けられています。
前年(令和7年版)からの進化ポイント
単に「IDを取得する」段階から、事業者の行政手続を一元管理するポータル機能(Gビズポータル)の拡充へとシフトし、企業ポータルとしての実務利用が本格化しています。
実務担当者が取り組みたいこと
  • GビズIDプライムアカウントの取得状況を確認する
  • アカウント管理者権限および利用範囲を明確化する
  • 退職者アカウントの不整合を防ぐため定期的に棚卸しを行う
  • Gビズポータルを活用した申請一元化の準備を進める
参考となる公的文書

5. GビズIDの民間サービス利用拡大

【重点政策一覧】7-4 GビズIDの民間サービス利用に向けた検討
  • 【本文】第1-4-(7) デジタル・AIへの受容性の向上
重点計画では、行政サービスで利用されているGビズIDについて、民間サービスでの利用可能性を検討することが示されています。法人認証基盤としての利活用拡大が期待されています。
前年(令和7年版)からの進化ポイント
行政専用IDから「民間ビジネスでも使える信頼性の高いID認証基盤」へと用途を広げる方針が明確化されました。
実務担当者が取り組みたいこと
  • GビズIDの管理・利用規定を整備する
  • ID・パスワードの共有禁止および二段認証の活用ルールを徹底する
  • 民間サービスにおけるビジネスID連携の最新動向を確認する
参考となる公的文書

6. デジタルインボイスへの対応

【重点政策一覧】3-120 デジタルインボイスの定着
  • 【本文】第1-4-(3)-⑦ 各分野におけるDX化の推進
重点計画では、デジタルインボイスの定着を推進しています。デジタルインボイスは、事業者間取引におけるデータ連携や業務効率化を支える基盤として位置付けられています。
前年(令和7年版)からの進化ポイント
インボイス制度導入直後の「制度対応(PDF送付など)」から、業務自体の自動化を目指す「デジタルインボイス(JP PINT)の定着・実運用」へと焦点が移っています。
実務担当者が取り組みたいこと
  • 利用中の会計・請求ソフトのJP PINT(デジタルインボイス)対応状況を確認する
  • 電子帳簿保存法に対応した保存・管理体制を再点検する
  • 主要な取引先におけるデジタルインボイス対応方針を確認・協議する
参考となる公的文書

7. 電子契約の利用拡大

【重点政策一覧】3-137 電子契約システム(工事・業務)のシステム効率化と利便性向上による電子契約の普及促進
  • 【本文】第1-4-(3)-⑦ 各分野におけるDX化の推進
重点計画では、電子契約システムの効率化と利便性向上を通じて電子契約の普及を促進することが示されています。電子契約システムの運用改善や認証基盤との連携などが進められています。
前年(令和7年版)からの進化ポイント
個別の押印廃止論から、行政機関・民間企業双方を跨ぐ「契約プロセスの完全デジタル完結」を目指す取り組みへと進化しています。
実務担当者が取り組みたいこと
  • 社内の対象契約書(秘密保持契約、基本取引契約等)を洗い出す
  • 電子署名・電子印鑑の利用規程および締結フローを整備する
  • 商業登記電子証明書や認定電子署名サービスの導入を検討する
  • 電子契約データの長期保管ルールおよびアクセス権限を設定する
参考となる公的文書

8. データ連携社会への対応

【重点政策一覧】4-38 ウラノス・エコシステム、4-39 データ連携・利活用を促進するエコシステム形成
  • 【本文】第1-4-(4)③ データ連携・利活用を促進する環境整備
企業や業界の枠を超えたデータ連携を促進するため、経済産業省が推進する「ウラノス・エコシステム」などの整備が進められています。中小企業においても、社内データの整理とシステム間連携への対応が求められます。
前年(令和7年版)からの進化ポイント
自社閉じてのデータ活用から、サプライチェーン間や業界全体での「相互データ連携(ウラノス・エコシステム等)」を見据えた基盤整備が推進されています。
実務担当者が取り組みたいこと
  • 社内データの格納場所・利用範囲を可視化する
  • クラウドサービス間のAPI連携やデータ共有手順を検討する
  • データの正確性・安全性を保つためのデータ管理責任者を指定するなど、データ管理体制の整備を進める
参考となる公的文書

9. デジタル人材とセキュリティ人材の育成

【重点政策一覧】6-3 企業DX推進に資するデジタル人材育成、5-24 実践的な演習を通じたサイバーセキュリティ人材の育成
  • 【本文】第1-4-(6)-② AI・デジタル人材の確保・育成、第1-4-(5)-⑤ セキュリティ人材の確保・育成
重点計画では、AI・デジタル人材やサイバーセキュリティ人材の育成を推進しています。企業のDX推進やサイバーセキュリティ対策の実効性向上を支える人材確保・育成が重要な施策として位置付けられています。
前年(令和7年版)からの進化ポイント
IT/セキュリティ専門職の確保・育成だけでなく、「一般従業員も含めた全社的なAIリテラシー・セキュリティ意識の底上げ」が明記されるようになりました。
実務担当者が取り組みたいこと
  • 情報セキュリティ責任者および実務担当者を任命・明確化する
  • 全従業員を対象としたセキュリティ・AI利用研修を年1回以上実施する
  • 経済産業省・IPAの「デジタルスキル標準(DSS)」を参考に自社の人材育成目標を設定する
  • IPA等の公的機関が提供する無料の教材やガイドラインを利活用する
参考となる公的文書

まとめ

今回の重点計画では、
  • AI・AIエージェントの活用促進
  • サイバーセキュリティ対策の高度化
  • GビズポータルやGビズIDを活用した事業者向け行政サービスの強化
  • デジタルインボイスや電子契約の定着
  • データ連携基盤の整備
  • AI・デジタル人材の育成
に加え、
  • 制度のコード化(Rules as Code)
  • 公共サービスメッシュ
  • ベース・レジストリ
  • デジタル・アイデンティティ
  • ガバメントAI
  • MCPによるAIエージェント連携
など、社会全体のデジタル基盤整備に関する施策も重点的に推進されています。 前年版(令和7年版)と比較すると、「デジタル化の推進」からさらに一歩進み、「AIを前提とした社会基盤の構築」と「安全で信頼できるデータ連携環境の整備」が強く打ち出されたことが大きな特徴といえます。 中小企業においては、
  • AI活用とAIガバナンスの整備
  • サプライチェーンを意識したサイバーセキュリティ対策
  • GビズID/Gビズポータルの活用
  • デジタルインボイスや電子契約への対応
  • デジタル人材・セキュリティ人材の育成

に取り組むことが重要です。また、Rules as Codeや公共サービスメッシュなどの取組は、将来的な行政手続の効率化や官民データ連携の高度化につながる可能性があり、国のデジタル政策の方向性として理解しておくことが望まれます。

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